必見!消費税改定後初めての確定申告!賃貸オーナーが気をつけておきたいこと | ユニヴログ

必見!消費税改定後初めての確定申告!賃貸オーナーが気をつけておきたいこと

こんにちは、不動産部の上村です。普段は主に収益不動産の売買仲介に携わっています。

時折春めいた暖かさも感じられるこの頃、賃貸オーナー様にとって一つの大きなイベント(?)でもある、確定申告にまつわる話題を取り上げたいと思います。

今回の消費税申告は、ちょっと複雑?

 

先日から確定申告が始まりました。

賃貸マンション・アパートを経営するオーナー様も、入退居が最も多いシーズンと重なるなか、申告準備に忙しくされていることと思います。

 

ところで、今回の確定申告は、消費税率が5%から8%に改定されてから初めて迎える申告となります。居住用の部屋しかない建物なら、家賃・共益費は非課税ですので、消費税のことは考える必要はないかもしれません。

 

しかし、課税売上が一定以上あるオーナー様で

 ・建物の一部に、店舗・事務所など、消費税の課税対象となる部分がある場合

 ・駐車場(特に、建物の敷地内にある駐車場)を賃貸している場合

 ・水道代を家賃(または共益費)込ではなく、別名目として定額で受け取っている場合

には、確定申告の際には少し気を付ける必要がありそうです。

 

平成26年4月分の駐車場代はいくら?

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消費税改定直前の昨年(平成26年)の3月下旬には、多くの駅で、4月以降から使用する定期券を購入する人の長蛇の列が見られたことを覚えておられる方も多いと思います。これは、4月以降通用する定期でも、3月いっぱいまでに購入すれば、3月時点での発売額で購入できたからです。ちょっとした節約ですね。

 

では、もう1年近く前の話ですが、平成26年3月時点で10,500円(消費税5%込)の賃料だった駐車場で、4月分の駐車場代を3月中にもらう場合、借主からもらうべき金額はいくらが正しかったのでしょうか?

 

・・・答えは、ほとんどの場合、10,800円(消費税8%込)です。(本体価格が下がれば別ですが)定期購入と同じ状況なのに?と思われるかもしれませんが、この違いを生む原因は、「経過措置」の有無にあるのです。

 

 消費税課税の原則と経過措置

 

「経過措置」とは、例えばこのようなものです。

 

 消費税率引上げに伴う経過措置(抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

消費税は、「サービスを受けた(受ける)のはいつか」という視点に基づいて課税されるのが原則です。「そのサービスの対価(=代金)を払ったのはいつなのか」は、実は関係がありません。

「経過措置」とは、その原則に対する例外規定と考えてよいでしょう。

※ここで「サービス」という言葉を使いましたが、その内容は、 上の表の①では、例えば「電車・バスなどに乗り、運んでもらう」、 ②では、例えば「建築会社から新築住宅の引き渡しを受ける」、 ③では、例えば「契約した駐車場の区画を利用できる」ということです。

 

こうしてみると、さきの定期の購入のようなケースは、表の①の経過措置によるものだったということが分かります。また、表の②については、平成25年9月までの住宅建築請負契約が大きく伸びたのは、この経過措置があったからということをご存知の方も多いことでしょう。 そして、表の③で引き合いに出した駐車場代ですが、これは実は注意が必要です。

 

「一定の要件」が結果を左右する

 

経過措置の適用には「一定の要件」があります。細かな内容は国税庁消費税室が平成25年4月に出したQ&Aに譲りますが(この26ページです)、簡単にポイントをまとめると、

 

 ”賃貸期間と賃貸料が決まっていて、かつ、貸主から賃貸料を変更できないことになっている”または”賃貸期間と賃貸料が決まっていて、かつ、契約期間中に貸主・借主のどちらからも解約の申入れができないことになっている”のどちらかを満たすもの以外は、経過措置は適用されないとなっているのです。これを満たす契約は、かなり少ないのではないでしょうか。

 

結局、ほとんどの駐車場契約は、経過措置の対象外=原則に基づいた課税=4月分から消費税8%、ということになります。

 

まとめ

 

以上、いろいろと書いてきましたが、ポイントは、

 

 ・消費税率変更後、初の申告となる方も多く税務署の重点チェック項目になり得る

 ・消費税は「いつもらったか」ではなく「いつの分か」で税額が決まる

 ・経過措置だけでなく、その措置が適用される要件による限定がある場合もある

 そしてもう一つ、

 ・経過措置の内容は、その措置が講じられた時によって変わることがある

 

ということです。

近い将来、消費税率の再改定が予定されていますが、その時にも今回と同じ内容の経過措置が講じられるとは限りません。その内容は、おそらくその時の経済情勢や改定後への影響を考え合わせて、手が加えられることになるのでしょう。

 

※税金にまつわる制度は、複雑なうえに改定されることも多く、個別具体的なことがらに関しては、税理士の先生にお尋ねください。

 

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