賃貸オーナーから見た民法改正「保証の極度額」について ~UL通信2020年新年号連動企画~

賃貸オーナーから見た民法改正「保証の極度額」について ~UL通信2020年新年号連動企画~

謹賀新年 

よき新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。

巷では2020年はオリンピック・パラリンピックイヤーと言われていますが賃貸業に携わる私達にとって2020年は民法改正イヤーでもあります。2017年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が2020年4月1日から施行されます。賃貸オーナーとしてどのような影響があるのかについて解説いたします

 

民法改正の注目点「保証の極度額」

 

この改正では契約に関するルールを中心として「債権」分野に関する見直しがされています。

注目しておきたい部分としては、保証に関する極度額の設定で「個人が根保証を行う場合には極度額を定めなければ保証契約が無効となる」という点です。

 

賃貸契約の場合、保証人は契約者の債務として発生しうる「滞納賃料」、「借主の故意・過失により物件に損害を与えた場合の損害賠償義務」、「借主が自死した場合の損害賠償義務」、「借主が行方不明となり残された動産類の撤去費用」などの保証をするわけですが、これらの保証に極度額を定めて契約書に記載をしなければ保証人との保証契約そのものが無効となってしまいます

 

保証の極度額設定が高額すぎると無効になる可能性も…

 

これに対して貸主の心理としてはいわゆるトリッパグレを回避するために極度額を高めに設定したいところですが極度額があまりに高額に設定されると「保証人のなり手がいなくなる」とか「公序良俗に反するものとして無効とされる」などの可能性が出てきます

 

現在のところ「高額な極度額」の基準に明確な定義がなされているわけではありません。

国交省の調査資料「極度額に関する参考資料(平成30年3月)」によると判決で容認された連帯保証人の負担額は中央値で家賃12か月分、平均で家賃13か月分、最大で家賃33か月分となっています。この国交省の調査資料は、判決で連帯保証人に命じられた保証債務額ですから、極度額がこの範囲内であれば、民法改正施行後も、有効とされる可能性が高いといえるでしょう。

 

民法改正後も、標準的な賃貸借契約書期間である家賃2年分程度は、連帯保証人もリスクを認識しているといえることが多いでしょうから、家賃の2年分程度の極度額設定であれば、裁判で問題となるおそれは少ないといえるのではないかと判断しています。

 

 

設定によっては極度額を超える損害が発生する場合も

 

気を付けたいところでは、保証人の債務保証の極度額を超える債務の想定についてです。通常の家賃滞納では2年を超える債務が発生することはありませんが、居室内での自死などの不測の事態によっては特殊清掃や残置物の整理、特別なリフォームが発生したり賃料を減額して募集するなど、家主が被る損害が保証人の極度額を超える可能性が考えられます。リスクに対して何らかの策を講じておきたいところです。

家主がおこなうリスク対策

①保証会社を利用して、滞納や原状回復の一定のリスクに備える

②保証人の極度額を超える債務にそなえて家主費用・利益保険(家主保険)に加入しておく

の両建ての対策が必要となります

 

 

リスク対策として家主費用・利益保険に加入されるオーナー様が増えています

家主費用・利用保険は

孤独死・自殺・犯罪死が発生したことによって被保険者が負担する家賃損失、原状回復費用、事故対応費用、空室期間短縮費用を補償する保険です。

 

貸室内での死亡事案は、遺品整理や特殊清掃、室内のリフォーム、募集時の家賃減額など、賃貸経営上高額な損失を被ることになります。民法改正で連帯保証人の極度額の上限を定めることで、貸主が保証人の保証債務の極度額を超える損害を被る可能性が出てきます。その際にも補償を受けることができる保険ですから、万が一のために備えておきたいところです。

契約中の火災保険とは別に加入できます

長期火災保険を契約中のオーナー様でも火災保険とは別に加入できるため、新築時だけでなく建築済みのオーナー様が多く加入しているのが特徴です。

 

 

ほかにもある賃貸に関連する民法改正ポイント

賃借人の修繕権 (民法607条の2)

「賃借物の修繕が必要である場合において、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。あるいは急迫の事情があるとき賃借人は、その修繕をすることができ、要した費用を貸主に償還請求できる。」というものです。

 

借主による修繕権の行使が、貸主の想定以上の仕様であったり、夜間・休日指定の割り増し作業費用が発生したり、貸主が思っている以上の費用の請求を受ける恐れがあります。借主が修繕権を行使することのないように速やかに対応し、相応の範囲で修繕を完了することが望ましいと考えます。具体的な手順についても齟齬の無いようにあらかじめ契約書面に明文化しておくことも必要だと考えています。

賃借物の一部滅失による賃料の減額(民法611条1項)

「賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。

2 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。」というものです。

 

滅失に限らず一部使用・収益できない場合も含めて賃料減額の対象となります。たとえば「給湯器が故障して風呂に入れない」場合、これまでは「家賃減額を請求できる」とされていたものが、当然に減額されることになります。

 

これらの詳細については別途ユニヴログでご紹介させていただきます

 

賃貸借契約書の改訂に向けて

ユニヴ・ライフでは、改正民法が賃貸借契約に及ぼす影響について社内プロジェクトチームで討議を進めて参りました。改正民法に適合した賃貸借契約書にするために、新たに記載しなければならない項目を追加し、複数ページで袋とじの現在の書式をA3版2つ折りの紙面にし契約条文を記載する方式に変更いたします。現在改訂作業中ですので、準備が整い次第、詳細については各オーナー担当者を通じて追ってご報告申し上げます。

 

民法改正においては、業界内でもまだ不明瞭な点も多いのが現状ですが、4月1日からの施行にむけてさらに明確になっていくものと思われます。

2020年4月からの民法改正が貸主・借主双方にとってよりよい関係性を維持できるように力を尽くしていきたいと思います。

 

本年もよろしくお願いいたします

「ユニヴライフは安全で快適な”LIFE”を創造します」

 

 

参考資料

法務省民法の改正に関する説明資料

http://www.moj.go.jp/content/001259612.pdf

国土交通省住宅局住宅総合整備課 極度額に関する参考資料 平成30年3月

https://www.mlit.go.jp/common/001227824.pdf

賃貸経営博士Webサイト 不動産経営における連帯保証契約の極度額について

https://www.chintaikeiei.com/kanri/1904/64/

大阪府宅建協会令和元年研修資料 令和元年10月

 

 

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