新型コロナウイルスに感染!? 医療保険で保障されますか?
保険事業部です。
2020年8月時点で新型コロナウイルスの感染者数は増加傾向にあります。東京近郊や大阪以外でも予断を許さない状況で、秋から冬にかけてさらに警戒が必要との見方もあります。皆さんも仕事や生活面で様々な対策を行われていると思います。一番心配なのは、新型コロナウイルスにはまだ適切な治療法が見つかっていないという点ではないでしょうか。今回は、万一感染した場合に備え、最低限知っておきたい保険給付の内容についてお話したいと思います。
1.公的保険からの給付
まずは、健康保険、国民健康保険等の公的保険からの給付について確認してみましょう。
(1)治療費等は原則として公費負担
新型コロナウイルスは、「指定感染症」(注1)に該当するため、治療にかかる費用が公費負担となります。入院の場合は、通常、負担する医療費のうち7割を公的医療保険が、残りの3割が自己負担となります。しかし、今回の新型コロナウイルスで入院した場合は、3割の自己負担部分が公費で賄われるため、自己負担は無く、書面申請等も必要ありません。
新型コロナウイルスの感染を判定する「PCR検査」(注2)の費用については、2020年3月から保険適用となっています。検査結果が陽性、陰性に関わらず、患者側の負担はありません。
但し感染者と濃厚接触をした訳でもなく、感染を疑うような症状も出ていないが、気になるので検査を受けたいという場合には保険適用外となる可能性があります。PCR検査が保険適用になるか否かは、検査実施機関の医師が、症状や接触歴などを元に総合的に判断します。
ただし、新型コロナウイルスで既に感染し、抗体を持っているかどうかを調べる「抗体検査」(注3)については自由診療のため費用は自己負担です。
(注1)指定感染症
既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、感染症法上の規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの(感染症法第6条)。
つまり、まだ感染症法に指定されていない感染症のうち、一時的(通常1年)に、感染症法に指定された感染症と同じ対応措置を行うことができる感染症のことです。感染の流行状況を見て迅速に対応しなければならない場合に、政令が出されます。
(注2)PCR検査
PCRとは、polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略語で、ウイルスの遺伝子を増幅して検出する方法です。下気道(かきどう)という気道のうち、声帯よりも末梢側の部分にウイルス量が多いことから、痰(たん)などを採取して検査します。無症状で痰が出ない人は、インフルエンザの検査と同様、鼻から綿棒を挿入し、鼻咽頭(びいんとう)の粘液や細胞を採取します。
なお、6月2日からは「症状発症から9日以内」であれば、唾液を用いたPCR検査が可能となりました。(参考)新型コロナウイルス感染症に関する検査について(厚生労働省)
(注3)抗体検査
抗体とは、ウイルスが体内に入ってきた時に、ウイルスを体内から除去しようと体が作り出すタンパク質のことで、ウイルスに結合することでウイルスを排除します。
抗体は、抗原・ウイルスが体内に入ってから数日から数ヶ月後に作られ、抗体を体内に持つことで、再度同じウイルスが体内に入ってきても排除してくれます。抗体検査が陽性であれば、以前に新型コロナウイルスにかかったことが証明されます。
(2)傷病手当金受給の可能性も
さらに、新型コロナウイルスで入院した場合や、その後、医師の指示によって在宅療養となった場合、公的医療保険の被保険者は傷病手当金を受給できる可能性があります。
業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間を含み、4日以上仕事に就けなかった場合に支給されます。補償される金額は、直近12カ月の平均収入(標準報酬月額)の3分の2の金額までとなります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する相談については、各都道府県が公表している「帰国者・接触者相談センターのページ」を参考にして下さい。
2.民間保険 入院・通院等の保障
次に、民間保険の保障について見てみましょう。
(1)入院の場合
多くの生命保険会社で対応方針が発表されていますが、新型コロナウイルスに感染し、医師の指示で入院した場合は、入院日数に応じ、医療保険からの給付金の支払対象となります。商品によっては、医療用入院一時金特約を付加することで、日帰り入院を含む短期間の入院でも手厚い保障とすることが可能です。
なお、新型コロナウイルス検査については、検査結果が陰性であっても、陽性の場合と同様、入院給付金が支払われる場合もあります。
(2)通院の場合
入院後に通院することになっても、通院給付金が支給される医療保険であれば給付金が支払われます。ただし、通院給付金は「一定期間以上の入院を経た場合に限る」など、入院後の通院が条件となることもあり、注意が必要です。
また、医療機関への通院に代えて自宅等における、医師によるオンライン診療および電話診療についても、すべての通院関係の保障における通院として取扱いし、入院日数などの条件を満たせば給付金の対象となります。ただし、オンライン診療・電話診療で通院給付金が出るのは、医師の証明書の提出がある場合のみです。
なお、オンライン診療・電話診療は、期間限定措置としている保険会社もありますので確認が必要です。
(3)自宅やホテルでの療養
緊急事態宣言が発令された4月以降、多くの保険会社では特例措置として、医療機関の事情により新型コロナウイルス感染者が入院できず自宅やホテルなどの臨時施設で療養した場合でも、医療保険の給付金の支払い対象とすることを発表しています。この場合、給付条件として、治療期間を確認できる医師の証明書の提出が必要になります。
3.民間保険 死亡・就業不能時の保障
さらに、入院、通院だけでなく、新型コロナウイルスで死亡した時や就業不能状態になった場合の保障はどのようになるかも知っておきましょう。
(1)死亡保険
新型コロナウイルス感染が原因で死亡した際も、通常の病気での死亡時と同様、死亡保険金が支払われます。この場合は普通死亡保険金として支払われます。
なお、不慮の事故や所定の感染症で亡くなった場合に保険金が割増しで支払われる災害保険金がありますが、今回の新型コロナウイルスに関しては、所定の感染症とし、災害割増の対象とする保険会社がほとんどです。
(2)就業不能保険
新型コロナウイルスに感染し、働けなくなった場合は、就業不能保険の給付対象となります。医療保険との違いは、入院だけではなく、医師の指示による在宅療養でも保険金が受け取れる点です。就業不能保険の保険金は、働けない期間と保険金額で決まります。ただし、免責期間が設けられているため注意が必要です。
支払条件は、個別の契約内容ごとで異なります。就業不能保険は、就業ができない状態でも一定期間は給付金が支払われません。60日以上や180日以上等、就業不能状態が続けば給付されますが、その期間に満たず、仕事に復帰すれば支払対象外となります。
4.まとめ
いかがでしたか、今回は、最低限押さえておきたい新型コロナウイルスに感染した場合の公的保険と民間保険の給付についてお話しました。
(1)今回のポイント
・新型コロナウイルスは指定感染症に該当するため、費用は原則、公費負担となる。
・民間保険では、入院、通院の他、自宅療養等でも給付を受けることができる場合がある。
・さらに、民間保険では就業不能時についても給付対象となる場合がある。
(2)最後に
緊急事態宣言解除以降、感染者数が最多となった地域がいくつかあります。今後の状況次第では、医療保険の特例措置を適用する保険会社も増えていくと見られます。最新の情報については、厚生労働省、各自治体や、ご加入の保険会社ホームページ等をご確認ください。
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